こんにちは(o´▽`)ノ
今回は、白点病の特徴・メカニズム・治療薬についてまとめました。魚が病気になるとかなりストレスです。その中でも事前知識があるかないかで不安の度合いも大きく変わります。
白点病は病気の中でも、治しやすい病気ですので落ち着いて対処することが重要です。
※淡水の白点病の記載になります。
※誤りもあるかもしれません。よろしくお願いいたします。
白点病とは? ウオノカイセンチュウって?
白点病は、ウオノカイセンチュウ(Ichthyophthirius multifiliis)という極微細な(0.03mm-0.04mm 30~40㎛)繊毛虫が生体に寄生することで発病する病気です。簡単に言うと、寄生虫による病気です。
繊毛虫は、「イクチオフチリウス」とも呼ばれています。ウオノカイセンチュウの学名をそのまま読むと、「イクチオフチリウス ムルチフィリス」になります。
≫【激写】魚から離脱した白点病の虫(ウオノカイセンチュウ)を動画で撮影しました!
白点病のメカニズム
白点病の機序(メカニズム)について説明します。
1.遊走子(セロント theront 繊毛虫)が生体上皮にくっつき、白点(トロフォントtrophont)になります。
2.この白点(trophont)が生体から栄養を十分に吸収した後に、生体から離れます。
3.その後シスト化し、トモント(tomont)になります。シストの中で、数百数千?の遊走子(theront)になります。
4.カプセルがはじけ、多量に増殖した遊走子(theront)が、一斉に生体に寄生しようとします。
この1~4の流れが、白点病のライフサイクルです。用語が間違っていたら申し訳ありません。
参考文献(英文):Ichthyophthirius multifiliis
白点は1回消える?
ウオノカイセンチュウは上記メカニズムにより、生体から離れます。そのため、1回白点が消えます。そこで安心して何もしないと、次は沢山の白点が現れます。1匹から、数百数千の子が生まれます。
ライフサイクルの期間は?
ライフサイクルは温度に依存します。
22℃程度だと、約3~4日、10℃だと30日かかるそうです。
ライフサイクルについて色々言われており、25℃で7日という情報もありはっきりしません。温度が上がると、ライフサイクルが早まる傾向です。
コショウ病 白点病に似た病気
コショウ病は、ウーディニウム(Piscinoodinium pillulare)によって、引き起こされる病気です。コショウを振りかけたような小さな点々が無数につきます。
別名ベルベット(ウーディニウム、サビ)病と呼ばれます。私も1回見た事がありますが、よく見ないと分かりません。持ち込みだったのですが、購入したお店では気付けませんでした。家に帰ってじっくりみたら気付きました。危ない所でした。
メカニズムは、白点病によく似ています。
白点病の原因
白点病の原因は大きく2つに分かれます。
1つ目は、温度変化、水質汚濁等で生体が弱る事で発症します。
2つ目は、持ち込みです。新しく迎えた生体が白点病だと、そのまま水槽内に広がってしまいます。
疑問
ここで疑問なのは、1つ目です。普通白点病は、一度感染したらすぐに水槽全体に広がります。経験的に元気な生体にもどんどん感染します。
ウオノカイセンチュウは、生体に寄生できないと死滅してしまう為、ずっと発生していない水槽のどこで生を長らえているのでしょうか、、、。一度シストになると暫くそのままでいるという情報もありますが、、、。細菌で言う、胞子状態でしょうか。
薬が効くタイミングは?
実は、このウオノカイセンチュウは、白点(trophont)になっている時は薬が効きません。同時に、生体から離れてカプセル化(tomont)になっている時も効きません。
薬が効くタイミングは、
●白点虫(子虫)がシストから出て生体に寄生する時
●お腹いっぱいになった白点虫(成虫)が生体から離れる時
体表について白くなっている時は、薬が効かないため、薬を入れているのにどんどん白点が表れてきて飼育者にストレスを与えます、、、。
ライフサイクルが4~5日であれば、2日に1回駆除するタイミングがあります。
以下の記事で実際の治療経過をまとめました。
≫【失敗例あり】プレコ・コリドラスの白点病治療経過をまとめました!
白点病の薬は?
白点病の薬は、マラカイトグリーン系、メチレンブルー系、二酸化塩素系があります。
マラカイトグリーン系
マラカイトグリーン系の最大のメリットは、水草に安心という点(赤色系の水草は枯れてしまうそうです)。ヒコサンZでは、更にバクテリア、エビ、ライブロックにも安心と記載されています。
マラカイトグリーン系はバクテリアに対して他の薬剤よりも侵襲性が低いかもしれません。もしバクテリアにも安心なら水槽全体の薬浴もしやすいですね。
デメリットは、魚毒性が高いことです。ただし、魚毒性はグリーンFゴールドなどの細菌(エロモナス病、尾腐れ病等)を駆除する薬よりは低いみたいです。
薬を入れた水槽です。青いですが、次の日ぐらいには透明になっています。
アグテンの薬効期間は2~3日です。
≫【アグテンについて】日本動物薬品 株式会社サポートセンターへの質問まとめ
薬が古いと有効成分が固まっている事もありますので、購入したら中身を確認する事をおすすめします。
≫【有効成分が固まってる!?】アグテンの購入時の注意点について
マラカイトグリーン系の薬一覧
メチレンブルー系
メチレンブルー系のメリットは、マラカイトグリーンに比して魚毒性が低い事だと思います。そして安価です。メチレンブルーは、水カビにも効きます。そのためコリドラスの卵などの管理にも使用されます。
デメリットは、水槽が一部青く染まり取れません、、。接合部のゴムの所などは良く染まります、、。そして水草が枯れます。甲殻類にもダメージが行くと思います。
下の写真は、メチレンブルーでトリートメントした時の写真です。規定量の半量でこの青さです。
トリートメントが終わった後です。ゴムの部分が青くなっています。
メチレンブルー系の薬一覧
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二酸化塩素系
二酸化塩素ですので、水槽を着色しません。水草にも使えるみたいです。赤系の水草には使えません。使用量は多いです。アグテンは10Lに1mlですが、グリーンFクリアーは、10Lに5mlです。
マラカイトグリーン系はホームセンターには売っていないことも?
近所の熱帯魚を扱っているホームセンターでは、アグテンも、ヒコサンZも売っていませんでした。マラカイトグリーンは、商標登録?の関係で、登録していないと売れないと言っていました。グリーンFクリアーは売っていました。薬は、病気になってから購入する方もいらっしゃると思います。お近くのショップの在庫について確認しておくとよいと思います。事前に通販で購入しておくのが安心です。
私が実際使用して治した薬
私は、アグテン、ヒコサンZ、メチレンブルーでそれぞれで治した経験があります。コショウ病は、アグテンで治しました。
薬浴期間は?
温度によって、ライフサイクルが変わるのではっきり言えませんが、26℃程度なら多くても10日もやれば一般的なライフサイクルは超えると思います。しかし、薬で死なずに再度感染している個体もいるかもしれません。個体を良く見ることと、もう少し薬浴をしながら経過を観察したほうが良いかもしれません。
水温を上げると効果的?
白点病の治療方法を見ると温度を上げると良いという記載が良くあります。なぜ温度を上げると良いかというと、下記の事が言われているみたいです。
1.高温では繁殖能力が鈍くなる。繁殖能力をなくす?
2.高温になると白点病の生活史サイクルが活性化される→速く魚から離すことが出来る
3.熱帯魚の代謝が活性化され、免疫力が上がる
ただし、上記の内容は曖昧な部分(1と2が既に矛盾している)もあり、この温度を上げることは賛否両論あるみたいです。昔から営業しているなじみの熱帯魚屋さんは、
・温度が高くなると、白点病が鈍くなるので、高温(28℃ぐらい)にした方がいい
・もし薬がその日に手に入らなかったら、高温に設定して一時しのぎをする
・塩浴もよい
との事でした。温度の設定は各自のご判断下さい。
ただし、温度を上げただけでは、治療自体はできないと思います。温度や塩浴、鷹の爪はあくまでも補助的という意味で設定したほうがいいと思います。
よく売っている温度計は26℃固定です。温度操作を行いたい場合はサーモスタットを所持しておくことをおすすめします。
別に繁殖に併せて、温度を柔軟に替える事が出来ますので、コリドラスやプレコの繁殖を考えている方は所持していた方が良いと思います。
≫インペリアルゼブラプレコの繁殖① 概要
塩浴の効果は?
よく治療に塩浴という言葉を聞くと思います。実際、白点病についても塩浴が効果があるとされています。キーワードは、浸透圧です。塩の濃度が高いと、浸透圧の関係で細胞内の水が出てしまい、死んでしまうというわけです。
しかし、塩の効果については以下の記載があるため、塩浴のみは難しそうです。
Q:病気が発生したとき、どのくらい塩を入れたら良いでしょうか?
A:食塩単独で、病気を治療することは困難です。例えば白点病は食塩で治療可能ですが、高濃度の短時間薬浴を1日に数回繰り返し行なわなければなりませんので、やり方によっては魚を死なせてしまう場合もあります。食塩は治療薬の補助として使用される場合が多く、例えば尾ぐされ病の治療には、グリーンFゴールドもしくは観パラDと食塩を併用すると良いでしょう。このときの食塩濃度は、0.3~0.5%(水量50Lに対し食塩150~250g)位です。
何故塩浴するといい?(0.3%~0.5%)
生体の浸透圧の関係です。熱帯魚の塩分濃度は、0.9%です。そのため、生体内に水がどんどん流入してきます。(水は濃度が薄いほうから濃いほうに流れる仕組みがある)
この生体内に流入してくるを防ぐためにエネルギーを使用して排出(尿)しています。水槽内の、塩分濃度が多少高いと魚が楽になるという訳です。
その他亜硝酸の毒性を下げる、殺菌効果が期待されます。
≫【何故バクテリアが必要?】水槽内の浄化の仕組みについてまとめました!
水換え時注意!
推測ですが、水換えの時に、薬が入っていない新鮮な水が流れ込むと、生きているウオノカイセンチュウが生体に寄生or生体からウオノカイセンチュウがシスト化するかもしれません。一旦生体に寄生してしまったら、やり直しです。
なるべく薬が混和するように水換えをした方が良いかもしれません。
私はオーバーフローの濾過槽に薬を流し込みながらポンプを回しました。
まとめ
病気の特徴やメカニズムを知ることで、安心できる部分があるのではないでしょうか?特に白点病は、一気に生体の体力を奪う病気ではなく、かつ治療すれば治りやすい病気ですので落ち着いて対処することが重要です。
ただし、前述の通り、放っておくと短期間で、かなり増殖しますので速めの手立てが必要です。
白点病は、熱帯魚の病気の代表格です。すぐに対応できるようにご紹介した治療薬を1つ所持しておく事をおすすめ致します。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。